という話をお送りしていました。
今回は
その続編です。

前回の話はこちらからどうぞ。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

そんなこんなの今日この頃。

静まり返る国立競技場。

午後５時に、
及川は生中継でレポートを入れますが
それまでに人は来てくれるのでしょうか？？？

かなり心配。。。

さぁ、どうなったのでしょうか？

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

人は３つの門を合わせると
300人くらいでしょうか？

とてもではないけど、
「盛り上がっている」状況からは
ほど遠いよ、あんた。

むむむむ。

でも〜
４時１５分から１５分間くらい
サポーターへ取材できるらしい。

う〜む。
そこで盛り上がっている様子を取材するしかないか。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

で、４時１５分。

マイク片手に
サポーターに取材に行くと！！！

おおおおおおおおおお！

うじゃっといるではないか！！！
遠くから総勢500人くらいが見える！

さらに近付いてみると

おおおおおおおおおおお！
なんてことだーーーーーーーー！

な、な、な、な、なんと！！！
あらまぁ、びっくり！なんでまた！

やはり、全然盛り上がってない。
がーん。

５００人くらいもいるのに
みんな座って、だらだらしてる…。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

お前ら…。
今日はワールドカップ出場がかかった
大事な試合ではないのかー！

試合まで、あと３時間もあるとはいえ
もっと盛り上がれーーー！

しかたないので
ちょっと盛り上がってもらって
取材する及川。

「ジーコにっぽん！　チャチャ・チャッチャッチャッ」

おおおおおおおお。
ようやく盛り上がって来たよ、
この人達は…。
手間がかかるねぇ。

じゃぁ、この調子のまま
５時のオンエアまで
盛り上がっていてもらいましょう…。

それをバックにして
レポートをするのだーーーー！

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

と思いきや…
ここで、大問題が発生！！！

な、な、な、なんと！！！
あらまぁびっくり！

主催者サイドの係員が言うには
オンエアは競技場の敷地の中から
できないらしい…。

ががががーん。

ということは、
外の道路で やれということ？？？

なんだとーーー！

実際、外の道路に行ってみると

がーん。
やはり…、思った通り…
誰も盛り上がっていないよ、あんた。

あああああ。
こんな所でレポートをしろというのか？

う〜む。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

盛り上がる競技場の中。
全く盛り上がらない外の道路。

むむむむむむ。

こ、こ、これは
まさに海水浴のレポートを
山奥からやれというのと
同じ事…。

ががががーん。
涙ぽろぽろではないか…。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

でも、そんなこと行っても
それは負け犬の遠ぼえ。

仕方ないな…。やるしかない…。

で、５時のニュースがスタート。
サッカーのニュースはトップ項目だよ、あんた。

まずは、試合がある
バンコクから中継があるらしい。

ふ〜ん。

スタジオのアナウンサーが中継を呼ぶ。
「バンコクの○○アナウンサー！」

「………。」

「○○さん？」

「………。」

あああ、こんな時に限って
回線がつながらない…。

ということは、ひょっとして
こっちに来るかな？

まだ、心の準備ができてないんだけど…。
周りは静かだし…。

「では、国立競技場も盛り上がっているようですよ。」

あっ、やはり予感的中。
こっちに来たよ、あんた。

「国立競技場の及川アナウンサー！」

心の準備はできてないけど
呼ばれたら
しゃべるしかないじゃん。あんた。

「はい！国立競技場は、ものすごい盛り上がりです！！！」

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

盛り上がっているサポーターなんてさほどいない
スタジアムの外で
ひとりテンションをあげる及川。

「国立競技場は、この後、さらに熱く燃えそうです！
　以上、国立競技場からお伝えしました！」

全国ネットでレポート終了。

ああああああ、すまんねぇ。

「盛り上がっている」なんて言ったけど
盛り上がっているのは
ずーーーっと遠くの方で

及川の周りは静かなのだよ。

別に嘘をついたわけじゃないけど
仙台と新潟を除いた
全国のみなさん、すまん。

　　　　（仙台・新潟以外、日本中で流れました。）

及川の横にいたのは
サポーターの集団ではなく

冷ややかな目で及川を見つめていた
警備のお兄さん２名でした。

う〜む。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

でも〜、実際のレポートをラジオで聴いていた人！

すごい盛り上がっているように
聞こえたでしょ。

ふふふふふ。

及川が、いかにもサポーターのすぐ横で
レポートしているかのような
臨場感があったでしょ。

バックには
及川が事前に取材をしたサポーターの
応援の音を入れてもらったし…。

及川、ちょっと頑張った。
ちょっとじゃないな。
かなり頑張った。

すごいテンションをあげたよ、あんた。

あそこまでテンションをあげたのは
幕張メッセでやった
プロレスの実況以来だよ、あんた。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

ということで、
たかだか１分３０秒のレポートだったにもかかわらず
ぐったりの及川。

あああああ、なんだか疲れた。

やはり、及川の横にいた警備のお兄さんの
「国立は盛り上がっています！」と言った瞬間に
及川に向けられた冷ややかな目…。

あれが一番こたえたねぇ。

あああ、ぐったり疲れて涙ぽろぽろだよ、あんた。

ということで、
実際のパブリックビューイングは
見る事もなく
さっさと家路についた及川でした。

　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊

でも〜
嘘をついたわけじゃないからね。

国立競技場は
実際、盛り上がってたんだから、

たまたま
及川の周りが静かだっただけさ。
とほほ。